Dentsu Business Design Square

Future Dialogue こんな未来どうでしょう。

株式会社TBM
代表取締役CEO 山﨑 敦義

電通ビジネスデザインスクエア
澁江 俊一

Dialogue 01.

サステナビリティ革命で日本から世界の価値観を変える

株式会社TBM
代表取締役CEO山﨑 敦義
電通ビジネスデザインスクエア
澁江 俊一

株式会社TBMは、紙やプラスチックに替わる主原料の石灰石とポリオレフィン樹脂からつくる革新的新素材LIMEX(ライメックス)を開発し、急成長中の企業。石灰石は地球上に無尽蔵にあり、日本でも100%自給自足可能な資源であるうえに、LIMEXは、貴重な資源、水や木をほとんど使わずに作ることができます。さらに、LIMEX製品は可燃物として処理しても環境への負荷が少なく、回収すれば元の製品よりも価値の高いものをつくるアップサイクルが可能です。

今回は、この地球環境保護に大きく貢献する大事業を推進し、世界中から注目を集めるTBMの山﨑敦義社長とBDSクリエーティブ・ディレクター兼コピーライターの澁江俊一が“素材の未来”について語り合いました。創業時に出会い、新事業にかける熱い想いを共有しながら、会社のミッション、ビジョン、クレドをつくり上げてきたという両者。持続可能な未来を実現するために、これからどんなことを仕掛けていこうと考えているのでしょうか。

01.
想いを言葉に。ミッション、ビジョン、クレドが道しるべになる。

澁江初めて山﨑さんにお会いしたのは2011年でした。僕たちも今はビジネスデザインスクエアという名前になり、人数も60名ほどまで増えましたが、当時はその前身である未来創造グループという会社の中でもインディーズな少人数のチームでやっていた頃です。

一緒にかなり濃密な時間を過ごした記憶があります。山﨑さんにはこんな会社をつくり上げたいという熱い想いがあって、本当にいろんなことを語り合いましたよね。そこから描くべき未来を、我々の意志も込めて提出させていただきました。

山﨑氏渾身の提案書でしたね。まだベンチャーにも程遠いくらいの小さい会社に、これだけの熱量を込めて、時間をかけて準備をして提案してくれるのかと、僕たちにとっては衝撃的なことでした。「この事業は、これだけの人がこれだけの想いを込めて応援してくれるんだ」と、弱っていた自分を奮い立たせてもくれました。絶対頑張ろうと思わせてくれましたね。

澁江僕たちとしても、大手企業ではなく、TBMのように「これからまさに」という会社との仕事は初めてでした。「実現できたらすごいけど、なかなか難しいだろうな」というときに、「では自分たちに何ができるのか?」、ということを考えながら向き合っていたことを思い出します。

山﨑氏TBMのクレドをつくるときも、会社に何回も足を運んでくれて、これから作っていきたい組織像などの話を聞き上手に聞き出してくれて、あんなにスッキリと整理してまとめてくれて。今もオフィスの入り口の壁に印字しています。

澁江僕がやったのは山﨑さんがすごい熱量で一気に語られたことを、第三者が初めて見たときに、その価値がしっかり伝わるように「整える」仕事だったと思います。情熱に順番をつけるとか、どこに向かうべきなのかを整理したり。まず、その情熱をまるごと受け止めることが必要でした。その仕事の仕方は、実はそのあとの僕の指針にもなっています。

山﨑さんのお話をお伺いして多くの驚きがありましたが、最も感動したのが「石灰石はほぼ無尽蔵。日本でも自給自足ができる資源」ということでした。その感動を「地球は石の星でもある。」という言葉に集約しました。

日本は石油原料をはじめ多くを輸入に頼っていますし、資源が少ないのが当たり前だと思っていましたが、今まであまり価値がないと見過ごされてきた石を使って、人類にとって大事な紙やプラスチックに変わりうる新素材をつくるという発想が素晴らしいと思い、考えました。その後もいろんな会社のビジョンを言葉にする仕事をしていますが、自分の中では納得度が高い仕事です。

ロゴの制作もさせていただいて、最初はストーンペーパーから事業が始まっていましたが、もう少し広い価値観、紙だけじゃない新素材という発想で可能性を広げていけるといいなと思いました。

また、基本的にBtoBですが、商品を選び、実際に使うのは消費者なのでBtoCでも応援されるべきブランドだと思い、骨太で美しいものをと、電通の中でもトップクラスのアートディレクターに依頼して制作しました。

山﨑氏LIMEXは石灰石のLIME STONEに無限の可能性のXを付けて名付けられましたが、振り返ってみるとロゴや名前に育てられていると思います。今は世界的にも人とプラスチックがどう向き合っていくかという局面にきていますが、当時の僕の価値観はそこまで追い付いていませんでした。未来創造グループのみんなのほうが圧倒的に未来が見えていましたし、「製品として無限の可能性があるから、いろんな製品の開発に力を入れていこうと」思えたのはこのロゴや名前のおかげです。

澁江さんが当時から言っていた「循環型イノベーション」も世界中が今言っていますよね。当時つくったビジョンやミッション、クレドなどの言葉が道しるべになっていると思います。

02.
想いに共感して、協力者が掛け算で増えていく

澁江当時から、山﨑さんの想いに共感して、協力してくれる方がたくさんいらっしゃいましたが、素晴らしい方ばかりでしたよね。

山﨑氏協力してくれる方は、今でも掛け算になってどんどん増えています。日本ベンチャーのレジェンド野田一夫先生が参戦してくださって、一緒に経済産業省に行ってくださったり、大援軍をしてくれて、本当にうれしかったです。

「絶対にやり遂げますのでお願いします」という、何を犠牲にしてもやるという強い気持ちが伝わったから協力者が増えたのではないかと思います。

未来創造グループのみんなもそうでしたよね、2011年にあんなに熱く夢を語り合って、でも本当にどうしようもなくなってしまって、僕が死ぬんじゃないかとみんなが心配するほど。

そして、2013年の2月6日に経済産業省から補助金が下りることが決まり、「お待たせしました、絶対に復活しますんで、今から」って電話をしたら、順番に電話変わって、電話口で泣いて喜んでくれてね。本当に待っててくれたんだなって感動しました。

澁江いまだに思い出します。本当にうれしかった。こういう関係で仕事ができるのが、理想ですし、できるだけ多くのクライアントさんとそうなりたいと思って仕事をしています。僕らもまだ小さくて、山﨑さんの夢もまだまだこれからという時期に切磋琢磨できたことは奇跡的なタイミングでした。僕たちにとっても初のベンチャーで大成功事例です。

山﨑氏どこの企業も自分ごととしてやっているのでしょうけど、自分たちの会社という感覚で見てくれていることはすごく感じています。0から1になるまでをご一緒できたことは、自分の人生の中でも宝物です。

澁江対人間としての付き合いで大事に関係を築いて、やっと今がある。BDSのメンバーは増えましたが、途中から入ってきたメンバーにも、クライアントと一緒に大きくなるとか、与えながら貰っているということを味わってほしいなと思います。これから僕らもBDSを電通の新しい柱のひとつとして確立するべく、頑張っていかなければならないフェーズに入っていますし。

山﨑氏僕たちも一緒です。世界に向けて形にしていくスタートラインに立ったところ。澁江さんたちがつくってくれた言葉を僕たちが人生をかけて担いでいくわけです。これから何千人、何万人になっても。

03.
サステビリティ革命。それは起こるし、起こさなければならないもの

澁江山﨑さんはどんな未来をつくっていきたいとお考えですか?

山﨑氏皆さんにお世話になって、LIMEXがやっと産声を上げ、時代の追い風もあって世界中からお問い合わせをいただいています。地球規模で未来を持続可能にしていくために、我々の新素材に期待してくれているという話も多くいただいている。

そこで、我々のやっていることの意義や想いを改めて再認識しようとしている中、よく出てくる言葉が「サステナビリティ革命」です。

農業革命、工業革命、デジタル情報革命の次として世の中ではAI革命とかよく言われていますが、僕たちとしては間違いなく次は「サステナビリティ革命」が起こるし、それは起こさなければならないものだとも思っています。

LIMEXを使ったサーキュラーエコノミーを世界中に広めていきながら、サステナビリティ革命を推進して、そのトッププレイヤーになりたいと考えています。

澁江プラスチックもそうですが、人と自然の関係性に対して、いろんな課題が出てくる時代になると思います。人と自然の関係性をサステナビリティに変えていくことが、企業のミッションになっていく。

山﨑氏アップサイクルなどの仕組みづくりをしていく中で、人の価値観を一緒に変えていけると思っています。世の中に影響を及ぼして価値観を変えていくことはBDSが得意とすることですよね。そこを日本発で一緒につくり上げていきたいです。

新幹線をスピーディーに清掃することとか、電車が正確に来るとか、日本の価値観とかおもてなしの精神はSDGsを実行に移していくには向いていると思うんです。この国の仕組みや技術、価値観は競争力になる。これをもって世界で勝負をしたら絶対に勝てると思うんです。

その気付きを与えてくれたのは澁江さんがつくってくれたクレドなどの言葉でした。循環型イノベーションやサーキュラーエコノミーをTBMのマインドとして体の中にこびりつかせることができたのは、間違いなく未来創造グループのみんなのおかげです。

澁江自分自身も「TBMが実現しようとしている未来のほうがいい」と心から思って取り組んだから貢献することができたんだと思います。

サステナビリティ革命を起こすといったメッセージは日本での反響もあると思いますが、世界の反響のほうが大きいのではないでしょうか?

山﨑氏はい。シリコンバレーは自分たちが世界に及ぼす影響力やスピード感に自負があって、率先して改革していかなければならないという意識の高さを感じます。ヨーロッパは歴史的な街並みや建物を継承していく文化があって、持続可能にしていかなければならないという意識を生まれながらに持っていますよね。

澁江街や建物を継承していくヨーロッパの文化に感動されて、100年先のことも考えたうえで、今をどうつくっていくか、をTBMという社名に込めたということでしたね。100年先のTIMEに向かって新しい価値をBRIDGEしていく、それを持続可能にできるようにMANAGEMENTして、日々を良くしていく。これからは射程距離が長い先のことまでを見ることが必要になってくると思います。

山﨑氏僕がいなくなった後も、何百年も残り続ける、時代の懸け橋になるような事業をつくりたいです。ハングリーに挑戦し続けることで、謙虚になれるし、感謝もできる。それを続けていくことが企業が持続可能になる姿勢だと思っています。

澁江僕は、100年先のことを昔の日本人は当たり前のように考えていたと思うんです。いつの間にか半年先とか、1年先までしか見えなくなっていますが、それが切り替わろうとしているのが、このサステナビリティ革命のメッセージなんじゃないかなと。そのきっかけを山﨑さんから教えてもらった気がします。

石って人類にとって最初の道具ですよね。その原点にある石で大きな循環を生むというのが面白いし、感動するんです。石だけに、「意志」が大事で。未来を予測するだけではなく、予測をどう覆すか、どう違う方向に持っていくかが意志です。これから必要なのは「未来予測」ではなく「未来意志」ではないでしょうか。

Profile
代表取締役CEO 山﨑 敦義
株式会社TBM
代表取締役CEO
山﨑 敦義

20歳で中古車販売業を起業後、複数の事業を立ち上げる。30代になり、グローバルで勝負が出来て100年後も継承される人類の幸せに貢献できる1兆円事業を興したいと奮起。時代の架け橋となる株式会社TBMを立ち上げる。2018年日本経済新聞 「NEXTユニコーン調査」で、国内未上場の評価額4位にランクイン、研究開発型として1位。Japan Venture Awards 2016「東日本大震災復興賞」受賞。Plug and Play 2016「世の中に最も社会的影響を与える企業-ソーシャルインパクトアワード」受賞。2017年、スタンフォード大学にて日米イノベーションアワード受賞。日経スペシャル「カンブリア宮殿」10周年500回記念番組に登場。

 澁江 俊一
電通ビジネスデザインスクエア
澁江 俊一

「経営にアイデアを。」をキーワードに2011年4月より未来創造グループの一員として 数々の企業の経営陣と、戦略やアウトプットを企画している。 カンヌ広告賞、ACC賞、新聞広告賞、朝日広告賞、読売広告賞、広告電通賞、 TCC新人賞など受賞多数。