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Future Dialogue こんな未来どうでしょう。

株式会社イオンファンタジー
代表取締役社長 藤原 信幸

電通ビジネスデザインスクエア
西井 美保子

Dialogue 02.

子どものための「気づき」の場を創造する

株式会社イオンファンタジー
代表取締役社長藤原 信幸
電通ビジネスデザインスクエア
西井 美保子

大型ショッピングセンターなどで子どもたちが安心して遊べる安全な施設を展開するイオンファンタジー。ゲーム機コーナーに加え、小さな子どもが遊べるプレイスペースも備えた「モーリーファンタジー」など親子のニーズに応える多様な施設を運営しています。

同社の藤原信幸社長は日本マクドナルドで飲食業界を経験した後、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの立ち上げを経て、2004年にイオンファンタジーに入社。11年間にわたり中国事業を牽引し、2018年より代表取締役社長に就任されました。藤原氏はこれからどんな未来を創造していきたいと考えているのでしょうか。「未来」をテーマに、藤原氏と電通BDSプランナーの西井美保子が語り合いました。

01.
「あそび」の中から得られる「まなび」を育てていきたい

西井イオンファンタジーと電通BDSの出会いはまだ藤原社長がイオンファンタジー中国の董事長でいらっしゃる時でした。イオンファンタジーがあそびの会社の代表として、もっと会社の中にも外にも、どんどんアソビゴコロを注入していく「+アソビゴコロプロジェクト」をご一緒させていただきました。今回、お邪魔している本社オフィスのコンセプト立案からオフィスデザインも、その一環で行ったものです。

藤原氏中国から日本へ出張してきたときに新しいオフィスにきて、パッと見た瞬間に“あそびの森”という印象が、「イオンファンタジーらしいな」って思ったのを覚えています。それで、中国のオフィスも日本と同じデザインにしたんですよ。

西井以前はスーツ着用が基本でオフィス全体もグレーのイメージでしたが、オフィスを一新してから社員のみなさんの表情や動きも含めて、まさにあそびの会社に変わったと思います。あそびは子ども大人関わらず、年代問わず普遍的な概念だと思いますが、藤原社長はあそびについてどうお考えですか?

藤原氏今は、僕自身が子どもの頃に比べて、子どもたちが個で遊ぶ機会が多い点が気になっています。僕が子どもの頃は学校から帰るとランドセルを放り投げて、日が暮れるまで野球をして遊んでいました。今の子どもは携帯ゲームなどで一人で遊ぶ時間も多いですよね。もっと友達と遊んだり、自然に触れたり、体を動かしたりする機会も必要でなはいかと思います。

中国に赴任しているときも教育熱が高くて、お母さんたちからも子どもたちがかわいそうだという声をよく聞きました。学校で6~7時間授業があって、学校から帰ってご飯を食べたらすぐに塾に行って、休む間もない状況です。

そういう環境を肌で感じながら思ったのは、子どもたちに必要な教育は学術的なものだけじゃないということです。野球だったら友達と一緒に9人で助け合わないといけないとか、そういった遊びの中から得られる学びを育てていきたいと思いました。日本でも一人っ子が増えてきていますし、友達と喧嘩したり、コミュニケーションをとる中で学ぶことって重要だと思うんです。

そこで、公園的な位置づけのものが施設の中にあるといいな、という思いから弊社ではゲーム機の横にプレイグラウンドや「スキッズガーデン」(3歳~小学2年生のお子さまがひとりでも入場できる遊び場)をつくっています。体を動かすことができますし、友達と触れ合うことも目的としています。

02.
これから子どもたちのために創りたいのは「気づき」の施設

西井はじめてイオンファンタジーに来たのは約6年前になりますが、その頃はゲーム機が事業の基軸だったと思います。そこからプレイグラウンドなど「あそび」の領域を拡張されていて、これからは「まなび」の領域にも拡張されていきますよね。

「あそび」もただ楽しいだけじゃなくて、遊びながら自立性を伸ばしたり、考える力や創造性、社会性を育んでいるところがイオンファンタジーの特徴だと思います。「まなび」の領域としてはこれからどんな施設を創っていきたいとお考えですか?

藤原氏今後の成長戦略としてはプレイグラウンドやテーマ性を持った施設が中心になってくると考えています。学術的な学びは他の企業がやっているので、その学びに興味を持つきっかけになる「気づき」の場を創っていきたいですね。

例えば中国では科学をテーマにしたテーマパーク「莫莉幻想研究島(モーリーファンタジー研究島)」を創らせてもらいました。実験をしたりする中で「なんでシャボン玉ってできるの?」とか、そういった「気づき」から将来どんな世界に進みたいかとか、まなびへの興味が湧いてくると思うんです。そういう施設をできるだけたくさん何種類も提供できるといいですね。

西井あんまり押し付けがましいものじゃなく、「気づき」ぐらいのヒントを与えられる。それが本当のまなびの本質だと思います。私自身も2歳の子の育児中なのですが、興味を持つことって、その子によって全く違うと実感しています。一人の親としてもそういう「気づき」の施設が何種類もあったら嬉しいですね。

プロジェクトの始まりの当初、提案した資料のなかに「おまんじゅう理論」というのがありました。おまんじゅうの皮の部分が遊びで、食べたら本質的に身になるのは想像力や創造力、というのがイオンファンタジーらしいまなびとあそびの融合だという内容です。どんなものにもイオンファンタジーのあそびの要素を皮として付けていけるし、そうすると子どもたちもハッピーになるんじゃないでしょうか。

藤原氏親もハッピーですよね。設備の安全・安心やただ楽しいだけでなく、子どもに得るものがあれば親の満足感に繋がりますし。

働くお母さんが増える中で、より良い環境を用意するためにできることはまだまだあります。今は遊育という中で事業を展開していますが、知育、体育、保育、食育、徳育と融合させるという考え方もありますし、健康という視点で医療のプロと組むこともあるかもしれません。子どもの森というテーマで、一ヵ所であそびもまなびも済むような場所が創れればいいと思っています。

03.
どんな業種もパートナーになりえる。人がものを生み出す原動力。

西井中国やマレーシアなどでフィンランドをテーマにしたプレイグラウンド「FANPEKKA」も展開されています。先日上海のFANPEKKAを視察に行かせていただきましたが、イオンファンタジー さんは常に「遊びと何を掛け合わせようか」と考えている社員の方が多い印象です。新規事業は事業性や実現性も重要ですし、選別されるご苦労もあるのではないでしょうか。

藤原氏基本スタイルはテーブルで議論するより、「やってみよう」というのがベースですね。失敗しても会社は潰れませんし、あと僕はホンダの本田宗一郎さんの本を読んで感銘を受けているというのもあって、チャレンジするべきかなと。当然失敗も多いですが、失敗からしか人間は学べないし、成長できないと思っているので。

中国でも未開の地に行ってみたり、アンテナを張って、いろんなものを見て、常にヒントはないかと探しています。「FANPEKKA」は日本の新規事業開発チームがフィンランドに視察に行って、街並みもいいし、教育も最先端というところに目を付けたのがきっかけです。

西井事業会社の場合、競合でもないのに守りに入ってしまう企業も多いように思うのですが、どんな業種でもパートナーにしてしまう柔軟さに驚いています。

0→1にするのはどこの会社も難しいと思いますが、1→100にするのは結構できたりしますよね。この0→1の部分のノウハウがなかったら得意な企業に協力してもらって創り上げていけばいいということで、チャレンジをしまくっている印象です。私たちもあそびの会社なので、あそびのプライベートブランドを作りましょうということで、電通も出資させていただき「GRID AIR HOCKEY」という新しいホッケーの筐体を作らせていただきました。こういう実験しながら前に進めていくということが、新しい価値を生み出すために必要な原動力だなと実感した事例でした。

藤原氏人こそがものを生み出す原動力。社員もそうだし、お客様もそうだと思います。私自身は、新規事業は百発百中じゃないので、100個やって1個当たったらいいよね、と思っています。ほかの企業とのマッチングとか、社内では思い付かないような全く新しいアプローチとか、今は存在していない「まなびをあそぶ」市場を作り出す同志として、西井さんたちには期待しています。会社の冠はあれど、一緒に創っていくパートナーだと思っていますので。あとは100個クレイジーアイデアを持ってきてください(笑)。

西井はい! 1000個じゃなくて大丈夫ですか?(笑)電通はどうしても広告会社というイメージが強いのですが、広告というバイアスがないのがうれしいです。私たちも今後も本当の意味で、並列の関係でパートナーとしてお手伝いしていけたらと思っています。

Profile
代表取締役社長 藤原 信幸
株式会社イオンファンタジー
代表取締役社長
藤原 信幸

2004年イオンファンタジーに入社。業態開発グループマネジャー、海外プロジェクトマネジャーを経て、2008年イオンファンタジー北京(現イオンファンタジー中国)董事副総経理に就任。2011年イオンファンタジーマレーシア取締役、2012年にはイオンファンタジー北京(現イオンファンタジー中国)董事総経理、2013年同社董事長総経理、2014年同社董事長を歴任。2015年よりイオンファンタジー中国事業責任者を務め、2017年イオンファンタジー取締役、2018年5月より現職。

 西井 美保子
電通ビジネスデザインスクエア
西井 美保子

人事、総務、店舗、オフィスなどの経営全般をアイデアで活性化する未来創造グループに所属し、数々の企業と協働プロジェクト多数。 また、インサイトラボ「電通若者研究部(電通ワカモン)」「電通ギャルラボ」の立ち上げメンバーとして、主に10~20代の若年層を対象に消費心理・動向分析を研究。 著書に、「パギャル消費~女子の7割が隠し持つ『ギャルマインド』研究~」(日経BP社)、「なぜ君たちは就活になるとみんな同じようなことばかりしゃべりだすのか。」(共著、宣伝会議)。