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クリエーティブ・プランナー小柴尊昭が、電通初のフォトグラファーになった理由 クリエーティブ・プランナー小柴尊昭が、電通初のフォトグラファーになった理由

クリエーティブ・プランナー小柴尊昭が、電通初のフォトグラファーになった理由

メンバー

電通ビジネスデザインスクエア(以下、BDS)は、「愛せる未来を、企業とつくる。」をテーマに活動するビジネスクリエーション組織です。

ビジネスデザイナー、アートディレクター、人事領域のスペシャリスト、若者文化やギャル文化を深掘りするリサーチャーなど、あらゆる領域のスペシャリストが集まって、「企業の経営にアイデアを注入する」取り組みを実践しています。

そんな BDSで活躍する人材を紹介する本企画。今回は、電通初のフォトグラファーの肩書を持つクリエーティブ・プランナー小柴尊昭が、企業の課題解決に写真を活用する理由や、BDSの魅力を紹介します。

趣味で始めた写真がきっかけで、営業からBDSへ

――学生時代は音楽に打ち込んでいたという小柴さん。電通に入社した理由と、フォトグラファーになった経緯を教えていただけますか?

小柴:大学生の頃は職業音楽家を目指しており、ある音楽プロデューサーの右腕として活動していました。アニメに楽曲を提供したり、デザイン家電の保留音や着信音をつくったり。しかし、就職活動をする時期に、違う分野のクリエーティブの可能性も探ってみたいと考え、せっかく大学まで通わせてもらったので、広告会社を受けることにしたんです。

電通入社後は、営業局に配属され、6年間、外資IT系クライアントを担当していました。写真を始めたのは、内定をもらってからです。音楽を仕事にすることをやめたので、それ以外の趣味を始めようと思い、ほぼ毎日ブログに写真をアップする活動を開始しました。するとある時、兄が「尊昭の撮る人物の写真がいいね」と言ってくれて、そこから人物の写真を意識して撮るようになりました。

――写真を続けるモチベーションは何ですか?

小柴:毎日カメラをぶら下げて、たくさん撮っていると、年に1回位ドラマがあるんです。例えば、猫をすごく愛していて、不幸な猫を減らす活動をしている人がいて、何気なくその人と猫の写真を撮り送ってあげたことがあります。その猫がしばらくして亡くなったのですが、「なかなか死を受け入れられなかったけど、この写真があったおかげで受け入れられました」というメッセージをいただきました。図らずとも撮った写真が、相手の人に深い意味を持つこともあるという初めての経験でした。その後も日常的に会社の局会や家族写真なども撮っていましたが、その写真はどんな意味を持つかわからないから取り敢えずなるべく撮っていた・・みたいな感じでしょうか。あとは、みんなが喜んでくれるという、とてもシンプルなことが写真を継続するモチベーションの根底にあります。

写真を始めて5年ほどが経過したあたりから、周囲の方の支援もあり、自然と営業として担当していた各社の案件で写真を活かすようになっていきました。クライアントCEO撮影、SNSキャンペーンでの全国行脚などなど・・Windows 8のローンチ仕事をしてたときに、自分の撮影した写真がグローバルの公式素材になるなどいろいろも思い出もあります。

――営業局からBDSに異動した理由と、現在の仕事内容を教えてください。

小柴:この部署に参加したのは「電通ビジネスデザインスクエア」になる前の、人数もまだ4人ぐらいで「未来創造グループ」という名前で活動している頃でした。よく分からないけど、この部署面白そうだなと思っていたところに、研修班のサブリーダーが、部署を立ち上げた国見さんを紹介してくれました。

僕は、写真には本質的なものを視覚化する力があると考えています。例えば、文字で藍染職人の歴史を書くより、職人の手のしわや制作現場を写真で見せるほうが、歴史や蓄積したものを実感できることもありますし、いかにいい結婚式だったかを言葉を読みあげるよりも、花嫁と父親の表情を見せたほうが、家族の絆が伝わることもあります。

本質を視覚化するという写真の力は何にでも掛け算ができるし、この力をまだまだ使い尽くせていない。そういったことを企画書にして国見さんに見せたら「面白いね。一緒にやろうよ」と言ってくださり、6年間を経て今に至ります。

未来創造グループに来てからの職種はクリエーティブ・プランナーで、主にインナーアクティベーションを担当しています。基本的には、企業で働いている人たちに関わる課題を解決することが目的です。誇りを持って働けるようにしたり、コミュニケーション不全に陥っている社内を活性化したり、組織の内部支援をしています。

フォトグラファーは二足目のわらじという感じで、プランナーとしてのビジネスにおける課題解決に向けてプランニングをするのと、フォトグラファーとしてフォトコミュニケーションを武器にすることを、行き来するような感じで仕事をしています。

その仕事は10年後まで続いているか?

――BDSに来て担当した仕事で、特に印象に残っているものは何ですか?

小柴:ストライプインターナショナルさんのハーモニープロジェクトです。社内風土改革を支援させていただいていて、既に5年以上担当しています。社内のコミュニケーションを活性化し、ボトムアップでたくさん意見が出てくる会社に変えていくと同時に、働き方改革を推進するプロジェクトです。

その中で、社員の個性を引き出すためにポートレートの企画を行いました。全員に自分を表現するものを持参してもらい、カラフルな背景で写真を撮り、それをB2のパネルにして全員約300人分をオフィスに展示したんです。それぞれの個性が表現され、会社のイメージを一新することにつながりました。

ポートレート以外にも、音楽や空間プロデュース、ワークショップなど、さまざまなクリエーティブアプローチを生かしながら風土改革に伴走していますが、始めた頃と比べると社内風土は大きく変わったと思います。例えば飲み会でも、以前は上司が来る前にビールを飲むなんてことはあり得なかったのに、今は、部長が来る前でもみんなで楽しく先に飲んでいたり。会社のカルチャーが変わっていく様を目の当たりにできたことは感慨深いです。

あとは、「富山もよう」というプロジェクトにも思い入れがあります。テキスタイルデザイナーの鈴木マサルさんはじめ、地域のいろんな方とコラボしながら、富山の良いところをテキスタイルデザインにして、富山を彩り、地域の魅力を伝えていく、というものです。

電通が行っている自治体職員研修に来た富山出身の方と、僕の席が隣だったことから始まり、5年以上継続しているプロジェクトなのですが、先日、グッドデザイン賞ベスト100を受賞しました。誰に頼まれたわけでもなく、ゼロから立ち上げたものが育ってきていることがうれしいです。

長い時間をかけて取り組む仕事が多いですが、テキスタルデザイナーの鈴木マサルさんが「すべての仕事は10年続けるつもりでやっている」と仰っているのに影響を受けて、僕もそうありたいなと思っています。10年経ているものには絶対に価値があると思うんです。無駄なものが淘汰されて、ちゃんとフィルターがかかった状態になっているので。それが文化でも、デザインでも、人にとって意義のあるものとして、残る仕事ができたら最高ですよね。

――仕事に取り組む際に心掛けていることは何でしょうか?

小柴:目の前の人にちゃんと向き合う感覚は大事にしています。その会社、組織だけではなく、一個人とちゃんと向き合うことが前提かなと。インナーアクティベーションに取り組む際も、まずは目の前の人と対話して信頼関係を築くことに時間やエネルギーを注ぐことがほとんどです。ちょっとした一言のニュアンスや表情、空気感など、言葉やレポートに上がってこないものがあり、そういう微妙な感覚が大切だと思っているからです。

それからもう一つ心掛けているのは、たのしくなる工夫をすること。出張の帰りに、早く帰らないといけないんだけど、ギリギリの中、新大阪のデパ地下でちょっといいワインを買って、それをチームメンバーと一緒に飲んで語らいながら帰るとか。些細なことばかりですが愉快に過ごす努力は大事だと常に思っています。

特異な人との掛け算で能力が拡張されていく

――BDSの仕事の魅力は何だと思いますか?

小柴:特異な能力を持った人がたくさん同居していること。「愛せる未来をつくる」という共通言語を持って、自分の能力とここにいる人達の能力を掛け算する楽しさがあります。

学生時代、古いロックを愛する20人くらいのバンドサークルに所属してたのですが、ライブのたびに、いろんな組み合わせで好きなバンドを組むんです。アクの強い人が集まってるので、その組み合わせがどういう風になっても毎回面白くて、「いいバンドだねー!」と褒めあう習慣がありました。BDSも同じように感じてて「このプロデューサーと、プランナーと、このデザイナー。いいチームだねー!」みたいに褒めあったり。仕事がジャムセッションのような感覚はありますね。また、仲間と自分を掛け算することで自分が拡張されていく感覚もあります。これからもっと変わった能力を持った人がどんどん加わっていくと、より面白くなっていくのではないでしょうか。

――最後に、小柴さんにとっての「愛せる未来」とはどんなものか、教えてください。

小柴:僕は、立場が違う人がフラットになるのが、非常に好きです。銭湯とかサウナも好きで、みんな鎧を脱いで、立場や役職も関係ない感じ。そういう未来になっていくことが自分にとっての愛せる未来。人間が人間らしく、自然な関係性で、人に親しみを持つことができる文化的な世界。それは、満員電車で喧嘩が起きることや、ココロに蓋をして働くことの反対側にあるものだと思っています。

電通の変革アクションに参加する機会も多く、チャイムを電通社員の演奏でつくるプロジェクト「チャイムリノベーション」のプロデュースも担当しているのですが、社員の隠れていた個性を出すことや、社内をフラットにしていくことが無性に好きですね。

また、BDSの共創スペースである「スクエアラウンジ」の立ち上げプロデュースもしていたのですが、音楽や空間の高さ、植栽などで、どのように心地よい空間にしていくかを考えました。音楽や写真、光といった五感を刺激するクリエーティブが好きなので、そういったものを生かして、世の中の人の幸せを愉しく創る。そして、10年経ったらまた全然違う景色が見えている。そんな風にありたいと思っています。

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Writer
プロデューサー 山原新悟
ディレクター西井 美保子

人事、総務、店舗、オフィスなどの経営全般をアイデアで活性化する未来創造グループに所属し、数々の企業と協働プロジェクト多数。 また、電通総研副主任研究員を兼任し、インサイトラボ「電通若者研究部(電通ワカモン)」「電通ギャルラボ」の立ち上げメンバーとして、主に10~20代の若年層を対象に消費心理・動向分析を研究。 著書に、「パギャル消費~女子の7割が隠し持つ『ギャルマインド』研究~」(日経BP社)、「なぜ君たちは就活になるとみんな同じようなことばかりしゃべりだすのか。」(共著、宣伝会議)。

人事、総務、店舗、オフィスなどの経営全般をアイデアで活性化する未来創造グループに所属し、数々の企業と協働プロジェクト多数。 また、電通総研副主任研究員を兼任し、インサイトラボ「電通若者研究部(電通ワカモン)」「電通ギャルラボ」の立ち上げメンバーとして、主に10~20代の若年層を対象に消費心理・動向分析を研究。 著書に、「パギャル消費~女子の7割が隠し持つ『ギャルマインド』研究~」(日経BP社)、「なぜ君たちは就活になるとみんな同じようなことばかりしゃべりだすのか。」(共著、宣伝会議)。

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